日本人の多くは仏教徒と言われています。
もっとも、著者を含めて多くの日本人の仏教信仰は決して強いものではなく、一言で仏教徒といっても他の宗教を信じる人から見ると無神論者と呼べる程度の薄い信仰の人が多いように見受けられるため、仏教徒と呼んでいいかという点に疑問が生じます。
なぜ、このような薄い信仰心しか持っていないにも関わらず、多くの日本人が仏教徒ということになっているのでしょうか。
実は、その原因は、江戸幕府による宗教政策にあります。
より具体的にいうと、江戸幕府が、より安価かつ簡便に民衆を統制する手段として、全ての一般民衆をいずれかの寺(末寺)の檀家にし、その末寺を本山が、その本山を江戸幕府が管理する制度を整えました。
これの制度により、江戸幕府は簡便な民衆・寺院統制手段を、本山は末寺に対する人事権・上納金徴取権を、末寺は民衆からの上納金徴取権を得ることに成功し、それぞれが大きな利益を得たのです。
他方、これらにより日本仏教の世俗化が進み、現在のような信仰心の薄い仏教徒出来上がるに至っています。
本稿では、これらの歴史的経緯について簡単に説明していきたいと思います。 “【江戸幕府の宗教統制】信仰心の薄い多くの日本人が仏教徒とされている理由” の続きを読む