本稿のアイキャッチ画像としている騎馬武者像を見たことがありますか。
髻の解けた髪が乱れた上に残ったわずかな矢のうちの一本は折れているにもかかわらず、口を力強く閉じ前方を鋭く見据えて、大太刀を抜き身で担ぎながら黒毛馬に乗って駆ける張り詰めた緊張感を漂わせる武者の姿が描かれています。
かつての歴史教科書などでは、この躍動感にあふれた武者は、室町幕府初代将軍である足利尊氏であるとされていました。
筆者も学生時代にそのように習いました。
もっとも、この騎馬武者像が足利尊氏像であるとする見解に対しては、有力な反対説が存在しています。
本稿では、必ずしも明らかとなっていない騎馬武者像の像主についての学説を紹介したいと思います。 “【伝足利尊氏像の像主は誰?】” の続きを読む