【平家政権成立】クーデターにより成立した日本初の武士軍事政権

平家政権は、平安時代末期に軍事貴族であった平家により確立された日本初の軍事政権であり、平正盛が基礎を築き、平忠盛が発展させ、平清盛により完成しています。平清盛の館が京の六波羅にあったことから、六波羅政権ともいわれます。

この辺りの話は、平家物語・愚管抄などを基にした貴族目線での話により理解されることが多いのですが、実態を理解するためには、貴族目線のみならず当時の権力機構ないでの位置付けを基づいて考えていかなければなりません。

すなわち、平家は、朝廷内の出世のみにより権力を高めたのではなく、軍事力を背景として地頭や国守護人を設置するようになり、その結果、従来の国家機構の支配権を掌握することで成立したということの理解が必要です。

もっとも、その成立時期については諸説あり、大別すると仁安2年(1167年)5月宣旨説と、治承三年の政変(1179年)説に分かれるのですが、定義の別は置いておくと、12世紀中期頃に段階的に成立し、遅くとも治承3年(1179年)までに確立されたと解釈するのがわかりやすいと思います。

なお、余談ですが、平氏と平家は別物です。「平氏」とは、皇族が臣下の籍に降りる臣籍降下して天皇から「平」という氏を授けたことにはじまる賜姓皇族の全てを指す概念であり、平家は、平氏の中の伊勢平氏・平清盛を棟梁とする一門を特別に指す概念となっています。

本稿では、平氏政権ではなく、平家政権の紹介となっていますので、これを前提として読み進めていただければ幸いです(平清盛に連なる伊勢平氏一族政権と見れば平家政権であり、建春門院滋子に連なる堂上平氏一族も政権の中枢にいるという意味では平氏政権とも言えます。)。 “【平家政権成立】クーデターにより成立した日本初の武士軍事政権” の続きを読む